探し続けていたギターがデジマートなどで見つかり日々悶々とする経験、皆さんお有りでしょう。
大体は、心の中の”買わない理由”勢が勝利するのですが、今回はキャッシュレス還元が終了間近、それに加えて、使っていないカメラのレンズが買い取り査定プラス対象に入ったりと、見えない力に後押しされ、初の”ポチり”でギターを購入しました。
試奏なしでのギター購入はカスタムギターと同じ、という考え方でクリアできるのですが、30年近く前の中古ギターをクリック一つで買うのには正直抵抗がありました。
ですが、”この勢いに乗れ”という不確かな勘に下支えされ、力強く「注文確定」をクリック!
さらば、70-200mm f/2.8!
妻よ、すまない、子どもの行事撮影は今後広角になる。
ヘリテージとは
1985年、ミシガン州カラマズーにて設立される。
84年にギブソンがカラマズー工場を閉鎖し、テネシー州ナッシュビルに生産拠点を移した時、ギブソンの職人であったジム・デュローらを中心とした数人がカラマズーに残る事を決意し、工場を買い取り、そして立ち上げたのがヘリテージだというのは有名な話ですよね。
ギブソン黄金期を知る職人が、多くの名器を生んだ当時の工作機械を使い、手作業で質の高い製品を作るというのがHeritageの触れ込みなのですが、現代ではPlekも導入されていたり、人員だけではなく生産体制も少しずつ変わってきているのでしょうか。さすがに世代交代もなされているはずですし。
また、日本での代理店業務は荒井貿易が行なっていましたが、2018年に人知れず終了するなど、もともとどこのギター屋でも見られる様なポピュラーなメーカーではなかったのが、更に弾数は減り、現行ラインナップすらよく分からないというのが今のヘリテージの印象です。
決して勢いがあるメーカーとはいえないヘリテージですが、昔ながらの手作業の工程が残るヘリテージギターを支持するファンも多く、特にハコ物ギターの評価はしっかりとしております。
ギブソンでいうところの.....
今回購入したヘリテージギターですが、1992年製のSweet 16というモデルで、ギブソンのラインナップの中ではL5 リー・リトナーシグネイチャーが近いのでしょうかね。そう考えますとSweet 16は破格です。笑
簡単にではありますが、リトナー・シグネイチャーと仕様を並べてみました。
赤字以外は小さな差異です。(私にとって)
Sweet 16 | Lee Ritenour L-5 Signature | |
SIZE | Body width - 16" Rim thickness - 2-3/4" |
Body width - 15-1/2" Rim thickness - 2-5/8" |
BODY | Florentine Cutaway Solid spruce, carved top Solid curly maple carved back Solid curly maple rim |
Venetian Cutaway Solid Bookmatched Handcarved Fine Grain Spruce Top Handcarved Solid Maple Back and Sides |
Neck | 5-piece curly maple | Tiger Flame Maple Neck with Walnut Centerstripes |
Fingerboard | 25-1/2" scale, 20frets, multiple-bound ebony with abalone and mother of pearl split block inlays | 25-1/2" scale,20frets, Solid Ebony Fingerboard with Block Mother of Pearl Inlays |
5-ply Neck , 7-Ply Body Binding | 5-ply Body and Neck Binding |
そもそものボディサイズが16"と15-1/2"、しかもカッタウェイの形状も違ので、むしろL-4Cに近いのでは、なんて思ったりもしましたが、使用材や弦長、またモデルの位置を考えますと、やはりL-5Signature寄りかなと。
リー・リトナーL-5 Signatureは一度見たことがあるのですが、L-5の格好良さが凝縮され、現代的で大変クールなギターでした。
一昔前、カタログは大きな情報源でした。
20年ほど前のカタログとなりますが、当時のものが残っていましたので該当ページを載せておきます。(昔はカタログを集めておりました)
左:2000年8月 / 中央(右):2001年4月
左のものは、アリアのカタログに間借りしていた時代のもので、半年後の中央のものは、きちんとヘリテージ単体のカタログ、そして価格表です。
半年で1割ほどの値上げがあった事よりも、アメリカンイーグルの価格に衝撃を受けました。
ギブソンのサイテーション(カラマズーアワード?)に対するヘリテージの意地の様なものでしょうか。
豆知識
シリアルナンバーのアルファベットは、ヘリテージの生産が始まった1984年が"A"で、毎年B→C→D.....と進んでいきます。(私のポチったギターは"I"でしたので、1992年という事になります)
今回の1992年製 Heritage Sweet 16です
やっぱりアーチトップは良いですね。光の角度によって様々な表情を見せてくれます。
今回、初めてのポチりギターということで、開梱時は多少緊張が走りましたが、カスタムギター程の怖さ(笑)は無く、むしろワクワクを楽しむ事ができた気がします。
状態に関しても、概ね店側の情報通りで一安心しました。
第一印象
ボディ、ヘッド、テイルピース
- 60年代ギブソンを思わすカラーリングですが、正直私の好みは50年代のものです。
- ジョニースミス「MOODS」のジャケットのギターと比べますと一歩及びませんが。笑
- 世のギブソンコピーはヘッドも似せてくるのですが、ここはヘリテージのプライドでしょうか。
- 90年代中期からテールピースのデザインが変わります。
その他
- 木製ピックガード。樹脂製にはない“割れ”というリスクを背負い込む事に。
- 樹脂でモールドされたハムバッカーですが、ケースが反って少し変形しております。
- 昔はヴェネチアンが大好きだったのですが、最近は両方の良さが解る年頃に。
- L-5やらと同じ様な構成のネックです。握りは60年代のシェイプで少々ペラいです。
弾いてみてどうよ?
またしても最後になってしまった触感、及び音に関してですが、アンプが実家にあり、詳しくはまた改めてレビューさせてもらいます。
でも、せっかくですので、生音で少し弾いてみた印象を言わせてもらうと、覚悟していたペキペキとしたものよりも随分とウェットな音で驚きました。
事前に弾いていたのが、このブログで頻出する辻四郎 Gem-Bだったということが、余計にそう感じさせたのかも知れませんが.....。
薄めの胴厚ですが、ボディ全体が隅々まで響いているのが奏者の体に伝わり、それがとても心地よく、ずっと弾いていたいギターです。
ただ、Sweet 16などに見られるラッカーフィニッシュは木肌の質感が出て素晴らしい反面、汗をかきやすいこの時期は何かと気を使いますね。
その点では辻四郎 Gem-Bのストロングフィニッシュ(勝手に名付けています)は素晴らしく、木肌の質感は全く出ませんが、とにかくツルツルしていて気持ち良いです。
なんて思いながら、今日もサイレントギター を弾きます。
やはりヘタクソがどんなギターを弾いても家では騒音となる様ですので.....。