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「The Virtuoso」の顛末

Buscarino「The Virtuoso」の件

 

「カスタムギター」
それは男のロマンと思っていた時期がありまし、、、今も思っております。
昔に比べますと熱量こそ少ないですが。

今から約17年前、John Buscarino(ジョン バスカリーノ)氏にカスタムオーダーする機会があり、当時一点豪華主義だった私は色々な物を整理し、最上位モデルであるThe Virtuoso(ヴァーチュオーゾ)をかなり無理をして選びました。

2003年にそのギターは完成したのですが、送られてきたものは私がオーダーした仕様とは違うもので、バスカリーノさんとの話し合いの結果、作り直して貰うことになりました。

リンクから見て頂くと大体の感じは伝わると思うのですが、完成して送られてきたギターの主だった仕様は次の様なものです。

  • 17" Body
  • 3" Body depth
  • 1 13/16"Nut width

これに対して私がオーダーした仕様はといいますと、

  • 17" Body
  • 3 3/8" Body depth
  • 1 13/16" Nut width

つまり、胴厚が3/8"程薄っぺらいギターが送られてきたという事です。
胴厚ではなく胴幅が違うのであれば、直ぐに送り返したと思うのですが、そこは胴厚ということで即答には至らず、一週間ほどウジウジと考えました。

最終的に、"そのギターで我慢するならギターケースカバーをサービスする"というバスカリーノさんからの精一杯の譲歩案を即答で蹴りつつ、作り直してもらう事にしました。やはり胴厚もギターの根幹を成す部分ですので。

他にも面白いやり取りなどあったのですが、その話はまた別の機会に語るとしまして、今回は私の送り返したThe Virtuosoがバスカリーノ氏によって大幅に改造され、その後世に出回った、というお話をさせて頂きたく思います。

本当に私のVirtuosoなのか。

私のオーダーしたThe Virtuosoの特徴の一つに、指板から少し離したピックアップがあります。

そしてこちら(↓)がネット上で発見しましたVirtuoso

SoundPure

若干の日焼けがありますが、積層ピックガードに隙間を開けたピックアップ、見覚えがあります。

次に木目から同定を行います。

↓私がオーダーした方

発見した方↓

SoundPure

如何でしょうか。
このバールベニヤはプリントされたものではなくリアルウッドのはずです。
私には同じに見えますね。

↓私がオーダーした方

発見した方↓

SoundPure

少し判りにくいですがネックヒール部の比較です。
どちらにも左側に特徴的な木目が現れています。

↓私がオーダーした方

発見した方↓

SoundPure

一致です。
ここからは同じものとして話を進めていきます。

魔改造が施されて...

ここまで同定に慎重になったのには理由があります。
まずこれらを見てください。

私のオーダーした方(↑)は、チェロテールガット仕様です。
ちなみにこのオーダー、バスカリーノさんは色々な観点からあまり快く思っていません。
ヒンジにしないか?と何度か進言を受けました。

SoundPure

↑そして発見した方のギターですが、ヒンジに付け替えられています。
これがバスカリーノさんの信念に基づいた本来の仕様なのでしょう。


最後にコレ↓ですが、無残にもサイドオープニングが。

https://www.soundpure.com

これには久々に見かけた昔の恋人が刺青を背負っていた的なインパクトがありました。

まとめ

長くギター好きをやっていますと、色々な問題から買うだけではなく手放すことも出てきます。
そしてネット全盛の今でしたら、自分が手放したギターが他の店に並んでいるのを発見することもあるでしょう。私も当然そういった経験があり、見つけるとテンションが上がったものです。
しかし、今回のケースは何となく切ない、そんな気分になるものでした。
何故なのでしょう......

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