不動のトップバッターこと辻四郎 Gem-B

気のせいかもしれない。
けれど、これに触れないのはフェアじゃない気がして、急いでキーボードを叩いている。

我が穴蔵の湿度が30〜80%近くまで動くことは、以前にも書いたと思う。

ここ最近、ウォールギターハンガーに吊っているのはSweet 16とGem-Bの2本だけ。隣り合っているからこそ、気づくことがある。

このGem-B、どうもチューニングが狂いにくい。

朝、湿度30%のときに弾いても、夜、湿度がぐっと上がってから弾いても、あまり狂っていない。
……気がする。

もちろん、張ってある弦も違う。きちんと条件を揃えて比べたわけではない。
それでも、辻四郎の「五箇山での湿度との格闘」をいろいろなメディアで読み聞きしてきたものだから、ただの気のせいとも思えないのだ。

工房を訪ねた取材記事によると、故郷の五箇山で独立した辻氏は、最初の年に出荷したギターが割れたり反ったりして、すべて送り返されるという事態に見舞われたという。原因を探るなかで行き着いたのが、五箇山の高い湿度だった。

そこで工房に乾燥室を設け、製作時の湿度を管理することで問題を克服した。初期のギターは、自分への戒めとして手元に残しているそうだ。五箇山伝説と呼びたくなるこの話は、失敗と、その原因に向き合った作り手の話でもある。
(参考:辻四郎ギター工房に迫る職人技)

その話と、目の前のGem-Bの安定ぶりが直接結びつくかどうかは、私にはわからない。
ただ、毎日手に取っていると、つい思い出してしまう。

さて、「狂いが少ない」というからには、比較する相手がいる。

そう。お隣のSweet 16だ。

こちらは敏感に変化する。
ポジションによってはビビるところが出るし、チューニングも動く。ネックの具合も変わっているのだろうか。

そんなときは、横のGem-Bの開放弦をポーンと鳴らして、それに合わせる。
気づけば、Gem-Bが我が穴蔵の基準音になっている。

Gem-Bのヘッドには、ずっとチューナーが挟んである。
だから、耳だけの話でもない。開放弦を鳴らすと、表示が気持ち悪いぐらいにピタッと合う。

また合っている。
今日も合っている。

そういうことが続くと、さすがに書いておきたくなる。

クリップチューナーのシリコンゴムと塗装との相性も、ギターによっては気になるところだが、ストロングフィニッシュのGem-Bには、その点でもずいぶん気を楽にさせてもらっている。
そこも心強いったらありゃしない。

もう1本欲しい。
とは思わないが、絶対に手放せないギターである。

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