前回の記事「ドライフォルテを9年間使った結論。お守り代わり以上、除湿機未満。」の続きです。
あの記事の最後で、1947年製D’Angelico New Yorkerのハードケースに新品のドライフォルテを入れ、約2か月間、一度もケースを開けないと宣言しました。
気になっても開けない。弾きたくなっても開けない。
その間、資料として気になることがあってもケースを開けられない、これがキツかったです。
そして今回、ようやくケースを開けました。
このNew Yorkerのハードケースは、かつて崩壊したオリジナル・ピックガードの影響が内張りに残っている、少々厄介なものです。以前、私はこのケースを「呪いのハードケース」と呼びました。
まずは、今回の結果から申し上げます。
新品のドライフォルテを入れていても、弦とフレットの変色は進みました。
ただし、これをもって「ドライフォルテは効かなかった」と結論づけることはできません。今回、強く表れたのは湿度の影響だけではなく、このハードケース固有の問題だと考えられるからです。
今回の観察条件
- 対象は1947年製D’Angelico New Yorker
- 新品のドライフォルテをハードケースに入れた
- 約2か月間、ケースを一度も開けなかった
- できる限り同じ場所、同じ照明、同じ撮影条件で記録した
ただし、温度や湿度を一定に保った比較実験ではありません。撮影位置や露出にもわずかな違いがあります。そのため、全体写真は大まかな比較としてご覧ください。
ビフォー/アフター
比較1|正面から見た指板まわり
ビフォー(2026年7月)

アフター(約2か月後)

比較2|斜めから見た指板とピックガード
ビフォー(2026年7月)

アフター(約2か月後)

比較3|指板エンド周辺
ビフォー(2026年7月)

アフター(約2か月後)

比較4|フレットの状態
ビフォー(2026年7月)

アフター(約2か月後)

比較5|ピックガードとボディ上部
ビフォー(2026年7月)

アフター(約2か月後)

全体写真だけを見ると、「それほど変わっていない」と感じるかもしれません。私も最初はそう思いました。
しかし、接写すると印象が変わります。
接写すると見えてくる変化

フレット表面には、白っぽいくすみと点状の変色が見えます。前回の記事で触れた、サビが出る前の「白っぽくくすむ」という予兆とよく似ています。

さらに寄ってみると、弦には茶色い変色が見られ、フレットの端にも褐色の変化が出ています。
少なくとも、約2か月前とまったく同じ状態ではありません。
ドライフォルテの評価は変わったのか
結論から言えば、9年間使ってきた私の評価は変わりません。
お守り代わり以上、除湿機未満。
ドライフォルテには、ケース内の湿気による変化を穏やかにする働きがあると、今も感じています。
一方で、今回のハードケースには、通常の湿度管理だけでは片づけられない問題があります。古いピックガードが崩壊した痕跡が内張りに残り、その近くにある金属部分で変色が進みやすい。新品のドライフォルテを入れても、その影響を完全には抑えられませんでした。
そもそも今回の観察は、途中から「ドライフォルテの効果を確かめる」というより、「このハードケースの問題がどれほど強いのか」を確かめるものになってしまいました。比較対象もなく、温湿度も一定ではないため、製品の性能を判定する実験としては不十分です。
それでも、一つだけはっきりしました。
このケースでは、ドライフォルテだけに任せておくことはできません。
必要なのはドライフォルテの追加ではなく、ケースそのものからギターを離すことなのかもしれません。
御祓ではなく、引っ越しです。
呪いは、まだ解けていません。

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