ドライフォルテについては、これまでにも何度か記事にしてきました。最初に導入したのは2017年。その後、交換時の状態や、久しぶりに使用した際の変化も記録しています。
これまでのドライフォルテ関連記事
- ギターの湿度管理に「ドライフォルテ」を導入する(2017年3月)
- ドライフォルテを交換する。(2017年10月)
- 梅雨明けにドライフォルテ投入(2020年8月)
- 半年後のドライフォルテ(2021年2月)
そして今回、使用開始から9年が経ちました。そろそろ裁定を下してもよい頃合いかと思い、あらためて記事にすることにしました。
まずは責任逃れから始めます。
これは温度や湿度を一定に保った環境で行った比較実験ではありません。使用したハードケースも、保管場所も、季節も一定ではなく、なかには内装に問題を抱えた古いハードケースまで含まれています。
したがって、これから書くのはドライフォルテの性能を科学的に証明する記事ではありません。9年間使い続けてきたなかで得た、あくまで私個人の実感です。
そのうえで、結論から申し上げます。
お守り代わり以上、除湿機未満。
私の環境では、大いに効果がありました。
ズバリ、劣悪な環境です
私がギターを置いている部屋は、湿度65%が当たり前。気を抜けば70%を超える日もしばしばあります。楽器の保管には、まるで向いていません。
もちろん、部屋全体を除湿機で管理できれば、それが一番です。しかし、常に除湿機を動かし続けられるわけでもなく、また、エアコンを効かせると最初は湿度が下がるものの、設定温度に到達した途端湿度戻りというのでしょうか、途端に湿気てくるなど、理想的な湿度に保つのも簡単ではありません。
そこで、せめてハードケースの中だけでも少しマシになればと使い始めたのが、ドライフォルテでした。
New Yorkerのフレットに起きたこと
私がドライフォルテの効果を強く意識したのは、1947年製のD’Angelico New Yorkerに起きた出来事がきっかけです。
先日のバインディング補修では、あわせてフレット磨きもお願いしました。フレットにサビが出ていたからです。

ただし、このNew Yorkerが収められているハードケースには、少々厄介な事情があります。ケース内側の起毛の一部が汚染されており、サビが出たのも、その汚染部分に近いフレットでした。

したがって、今回のサビをすべて湿度のせいにすることはできません。影響因子として、汚染されたハードケースの存在があまりにも大きいからです。いきなり証拠としては頼りないのですが、話はここからです。
フレットは、ある日突然、茶色く錆びたわけではありませんでした。その前に、きちんと予兆がありました。
フレットが白っぽくくすむのです。
昨年6月から今年に入るまでの約半年間、所有するギターをすべて実家に置いていました。そして実家もまた、私の家に負けず劣らずの高湿度環境です。
状態が気になるので、2週間に一度ほどハードケースを開けていました。すると、New Yorkerのフレットから少しずつ輝きが失われていく。布で磨けば白っぽいくすみは取れますが、また2週間後に開けると、少しくもっている。
拭けば取れる。またくもる。また拭く。その繰り返しでした。
そして、だんだん面倒になりました。
今年に入るまで放置したところ、久しぶりに開けたケースの中で、フレットはしっかり錆びていました。布で拭いてみましたが、もちろん茶色く変色したフレットに輝きが戻ることはありませんでした。
ここで、お気付きかと思います。
約半年間の放置。
ドライフォルテの使用期間です。
完全に忘れていました。
新品に交換してみると
New Yorkerが修理から戻ってきたあと、しばらくしてフレットを見ると、また白っぽいくすみが現れ始めていました。
そこで今度は、新しいドライフォルテをハードケースに入れました。
その約2週間後、再びケースを開けてみると、以前より白っぽさが明らかに少ないのです。
もちろん、この一例だけでドライフォルテの効果が証明されたとは言えません。ケース内装の汚染という大きな要因もありますし、温度や湿度も完全に同じ条件ではありません。
それでも、交換時期を過ぎた頃にフレットがくもり、新品へ交換したあとにはくもり方が弱くなる。この傾向は、9年間使ってきたなかで何度か感じてきました。
だから私は、少なくとも自分の環境では、ドライフォルテには効果があると判断しています。
では、2か月間試してみます
とはいえ、ここまでが過去の記憶と経験だけでは、少々心許ないところです。
そこで、これから2か月間、もう一度観察してみることにしました。
この記事を書いた時点で、1947年製のNew Yorkerには新品のドライフォルテを入れています。これから2か月間、このギターは壁には掛けず、問題を抱えたハードケースの中で保管します。
そして、自分に一つ約束します。
その間、ケースは一度も開けません。
気になっても開けません。フレットを確認したくなっても、ギターを弾きたくなっても開けません。途中で覗いてしまえば、この観察はそこで終了です。
今回は、現在のフレットの状態をできるだけ正確に残すため、かなり多くの写真を撮りました。フレットの接写だけでなく、撮影時のギターの設置場所、カメラの位置、照明の当たり方が分かる画像も残しています。撮影データについても、EXIF情報を保存しました。

ベンチの設置場所は床の板目で確認
照明はフル
ISO4000 105mm 0ev f5 1/250s

ISO5000 105mm 0ev f5 1/250s

ISO5000 105mm 0ev f5 1/250s

ISO5000 105mm 0ev f5 1/250s
ISO10000 105mm -0.3ev f5 1/250s
2か月後、できる限り同じ場所、同じ照明、同じ撮影条件で、ケースを開けた直後の状態を撮影します。
良い結果でも、悪い結果でも、そのまま掲載します。
9年間使ってきた実感として、私なりの答えはすでに出ています。
それでも、その答えが正しいのかどうか。
続きは2か月後、New Yorkerに聞いてみることにします。


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