独り言

最後の一本

「最後の一本」
ギターコレクターなら思ったこと、実際に口に出したこと、1度や2度ではない筈です。
近年、これはどうも病気な気がしてきまして、「最後の一本病」と勝手に名付けているのですが、病気なら治る病か不治の病か、少し掘り下げてみたわけです。

そもそも何故に”最後の”なんて付けるのでしょうか。
禁煙前の最後の一本!的なアレなのか。
いや違うはずです。

今日からギターを集めるぞ!って始める人は少ないと思います。
だんだん増えていった人が大半ではないでしょうかね。

30年近く前、私がアーチトップギターに興味を持ち出した頃は、ギター広告を見るためにギター雑誌を買っていました。
何なら本文なんてどうでもいいし、ギターマガジンかPlayerは全ページ広告になったらいいのに、なんて思っていた始末で。

今はクリック一つで世界中の在庫がカラー高解像で見られ、店によってはあまり参考にならない試奏動画まで埋め込まれていて、いくらでも見られます。

便利で最高じゃありませんか。
いつか未来がこんな風になればなぁ、と私が思っていた遥か上を、今は普通に行っています。

じゃあ何が不満なのか。

不満なんかありません。

ただ…..あの頃の、
白黒広告に載っていた “19XX L-5C Sunburst Mint OHSC call for price”。

写真も無い。
値段すら載って、いや載せていない。
暗号のような文字列から、勝手に姿を想像するしかなかった。

これ、本当に存在するギターなのか?
そんな気持ちにすらなりました。

だから片道2時間くらいなら普通に見に行きましたし、何なら新幹線に乗って、ただ一目見るためだけに店へ行ったこともあります。(臨時休業ならどうしようとドキドキしながら)

結局我々が追いかけていたのは、ギターそのものだけではなかったのかもしれません。

情報が少なかった時代。
簡単には辿り着けなかった店。
電話口で"Call For Price"に立ち向かっていた熱量。
雑誌の白黒広告を眺めながら、まだ見ぬ一本を想像していた頃の自分。

「最後の一本病」って、結局『所有の終着点』じゃなく、“焦がれ追い求め続けていたあの頃”への未練なのかもしれません。

はい。不治です。

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