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Benedetto「AMERICANA」について

Benedetto AMERICANAについて

現在 Benedetto Guitars サバンナ工場生産のラインナップにAMERICANAというモデルがあるのはご存知でしょうか。スペックは以下の通りです。


Body: Carved Archtop 17" lower bout, 3" body depth, Venetian cutaway
Top: Carved Spruce (European or American as available)
Back: Carved Curly or Quilted Maple (European or American as available)
Sides: Solid Curly or Quilted maple (to match back)
Bracing: Parallel Spruce
Binding: Deluxe binding package – multiples of black and white throughout
Neck: Flamed maple
Fingerboard: Ebony, 12" radius, with 12th fret abalone inlay
Width at Nut: 1 ¾"
Scale: 25"
Frets: 22
Bridge: Ebony, adjustable with black wheels and posts
Tailpiece: Model EPS (Ebony Professional Series)
Pickup: 1 Benedetto A-6 Gold
Controls: Volume and Tone
Tuners: Gotoh gold with ebony buttons
Fingerrest: Ebony
Finish: Gloss nitrocellulose lacquer
Colors: Antique Burst, Opulent Brown
Strings: Pure nickel (.012-.052)


特徴を一言で言いますと、17インチボディに埋め込み式のハムバッカー搭載、つまりは Gibson L5 Wes Montgomery モデルの様なものです。

さて、このAMERICANA ですが、デビューは1993年のペンシルベニア時代にまで遡ります。
そしてこの1993年という年は、ベネデットギターにおいて様々な変革があった年でもあります。

1993年のできごと

・#28193 からヘッドロゴに細ロゴを採用。
・ La Venezia の生産開始。
・ 25th Anniversary (#29193)モデルの完成。

その中に埋もれてしまいがちなもう一つの出来事、それがAMERICANA PROTOTYPEの完成というものです。

出典:Robert Benedetto Making an Archtop Guitar 

ログブックによりますと、1993年最後の1本「#30393 Manhattan 18” X-bracing」の下に鉛筆書きの様なもので”(Americana Prototype)”と記してあるのが確認できます。

また、仕様についてはBenedetto氏の著書「Making An ARCHTOP GUITAR」に次の様に記載されています。


AMERICANA

Handcarved top of select, aged spruce
Hnadcarved back of select, aged flamed maple with matching sides
18" Body
Non-cutaway
Large flared headstock
Neck made of 3-piece matching flamed maple
Neo-classis fingerboard
Narrow "Chuck Wayne" style fingerrest Black/white binding
Gold Schaller M6 tuning machines with solid sbony buttons


ノンカッタウェイに18インチボディ、ラージヘッド、そしてピックアップは無しという、ベネデットギターの中でも異色とも言える堂々とした体躯のAMERICANA、オリジナルオーナーはGIBSON SUPER 400で有名なVan Hoose氏と聞きますと納得される方も多いのではないでしょうか。
ただ、TOP材にヨーロッパ産のスプルースが使われている様なのですが、この際細かいツッコミは無しです。

そして、1990年代のAMERICANAの生産本数は1本。このプロトタイプのみという事になりますが、「Making An Archtop Guitar」のカラーページで、CREMONAやLIMELITEなどと同様に個別のラインナップとして紹介されている事や、1995年以降Benedetto Guitarsの価格表に記載されている事などから、MANHATTANの派生モデルとしてでは無く、固有のモデルとして取り扱うつもりだった事が窺えます。

後のサバンナ生産で17インチ、埋め込みPU仕様という、オリジナルとは程遠い仕様のギターで使われる事となったAMERICANAというモデル名。Benedetto氏の中では本家AMERICANAは無かった事になっているのでしょうか.....。

ノンカッタ信者の一人としては寂しい限りです。


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