今更ながらGuild時代のベネデットギターについて
MET.でのD'A&モンテをはじめアーチトップの可能性を追求するビルダーたちの作品を見ておりますと、ここ最近のベネデットに対してモヤモヤがどんどん湧いてくるのです。
そして救い(笑)を求めベネデットのサイトを見ますとモヤモヤは解消するどころか、より深まるという.....。(ある意味納得させられる部分はあるのですが 笑)
とりあえずギルド時代に遡ってみます。
- ギルド時代、どんなテンションで個人オーダーのギターを作っていたのか
- 今の体制(サバンナ工場)はベネデット自身の念願だったのか
- ...アイディアの泉は枯れたのか
今回は①の「ギルド時代、どんなテンションで個人オーダーのギターを作っていたのか」それを勝手に想像していきたいと思います。
先ずは1999年から2006年の通称「GUILDETTO」(ギルデット)時代を見ていきましょう。
2002-2003のカタログを見てみます
週のうち何日かはギルドで仕事をしてると、当時カスタムオーダーに際するメールのやり取りの中で聞いておりましたので、名前を貸しているだけではなかったようです。笑
いやいや、疑問はそこじゃありません。
GUILDETTOラインナップ
- Manhattan(マンハッタン)
- Fratello(フラテッロ)
- La Venezia(ラ ヴェネツィア)
- Benny(ベニー)
- Cremona(クレモナ)
- Limelite(ライムライト)
- Americana(笑)
赤字はDiscontinue
ルネッサンスシリーズはそれ以前の問題として、クレモナやライムライトが整理されたのはGUILDラベルではトップラインを作らせたくなかったから?なんて良い様に考えそうになったのですが、恐らくは似た様なモデルが多いので整理されたでしょう。
ベネデットファンにとっては似て非なるものなのですが。
我が愛すべきアメリカーナも当然ディスコンです。この先のサバンナ期ではもっと酷い扱いを受けることとなるのですがね。
サバンナ工場製アメリカーナについて
GUILDETTO時代のオーダー品
ベネデットは1999-2006まで、少数ではありますが個人工房でのカスタムオーダーを受けておりました。
私の16"Customも2003年オーダーなので、その時期のものです。
他にはこういうものがあります

あと、有名なのでしたら35th Anniversary もこの時期ですね。
benedettoguitars.comより
この時期のギターはどういうテンションで作られていたのか
90年代、ベネデットのアーチトップギターデザインは一つの完成を迎えたと思っています。
ベネデットにとっての90年代作品を第2期としたとき、第3期での更に洗練されたベネデットギターをファンの多くは期待していたと思うのですが、このGUILDETTO時代のオーダー品を見る限り、モールドから起こした様なモデルは私には見つける事ができず、今までのデザインの流用(生かしたものという捉え方もできますが)、または木工や音響面ではなく、他の付加価値をつける様なギターであったりと、正直ベネデットファンとして煮えきらない気持ちだったのは私だけでは無いはずです。
これは私の感覚がズレているなら申し訳ないのですが、どうもGUILDETTO以降のギターに、90年代のギターを初めて見た時の様な”ときめき”成分が足りないのです。
もちろん、私自身完成した16"Customを見た時に感激したというのは嘘ではありません。
でも、ベネデットに未来のアーチトップの夢を持っていたファンの一人としての正直な気持ちは先述の通りです。
ときめき成分が薄まった事にはいくつか理由があると思うのですが、その一つに自身が出版した「Making an Archtop Guitar」や制作ビデオの甲斐あってか、その後ベネデットのクローン的なギターが巷に溢れた事により食傷した、というのも多少は考えられるかと。
実際、ベネデットの影響を受けた製作家は多く、彼は新たなアーチトップのスタンダードを作った、と言っても過言ではありません。
しかしながら、GUILDETTO以降、何か新たな発表、発信があったかといえば、一連のベネデットプレイヤーコンサートDVD(内輪のグダグダ発表会)ぐらいしか印象に残っておりません。(せっかく一流プレーヤーを集めているのに、映像品質や音響、編集がホームビデオレベルなのです)
さて、どんなテンションでギターを作っていたのか、という本題ですが、少なくともGUILDETTO時代の早い段階で既にサバンナのプロジェクトは動いていたのでしょう。それか、サバンナ工場を見越してのGUILDだったのかも知れません。
私がベネデット氏からサバンナの件を聞いたのは、カスタムギターの件でやり取りしていた最中のメールで、それは彼が16"Customに取り掛かって割と直ぐのタイミングでした。
自分のギター代金がジョージア州への引っ越し費用の足し、そして祝儀みたいな、そんな感じでなんとも複雑だな、と正直思いましたよ。笑
ギルドの工場のノウハウを今後興すサバンナ工房で生かし、そしてその間の個人オーダー品で、新たなサバンナ工房でのラインナップ研究を、なんてテンションで作っていたのかな、という様な意地の悪い見方をしております。
実際に私の16"Customは、サバンナ工場でのSINFONIETTA(シンフォニエッタ)に受け継がれている様な気がしないでもありません。
ただ、なんですね、SINFONIETTA(シンフォニエッタ)が常にBOB’S BOUTIQUEやGbaseで売れ残っている様、なんとも複雑な思いです....。
一応フォロー的な事も
意地悪な見方で辛口発言をしましたが、それでも私はベネデットが好きです。
過去に所有したいずれのベネデットギターも、ハードケースを開けて現れる姿を見る度に胸が高鳴る、そんなギターでした。
でも、ベネデットの「その先」が見たかったファンとしては、サバンナ工場とは違った形で咲かせた花を見たかったのです。
それはまた別の話ですね。
またいずれ毒を吐きますので。笑